歯科情報・知識

歯と歯ならびと「ひみこのはがいーぜ」①

みなさん、こんにちは。世田谷区経堂にある ふなき矯正歯科経堂クリニック 会長の舩木純三です。今日は私の著書「グッドスマイルとアンチエイジング①よい歯と歯ならびで健康長寿」から抜粋してお届けする第二弾。

歯と歯ならびがアンチエイジングにつながるお話を8回に分けてお届けします。

「ひみこのはがいーぜ」

先日、初診で女子大の学生さんが来院されました。そして、開口一番「この前歯の一本が出ていて格好悪いんです。治りますか?」。

もちろん治ります。でこぼこの歯は審美的にもよくありませんから、是非治したほうがよいでしょう。しかし、本来、歯は噛むためにあります。でこぼこの歯では、むし歯や歯周病で歯を失う可能性もあります。さらに、前歯で物が噛み切れず、胃腸が悪くなることもあります。小さい頃から物が噛めない人は、よく噛める喜びを知りませんし、噛めないことに伴う不都合を知らないと思います。では、よく噛める人はどんな得(効用)があるか、噛む8大効用をまとめた斉藤滋先生のキャッチフレーズ「ひ、み、こ、の、は、が、いー、ぜ」の順番でみていきましょう。

①「ひ」肥満予防

誰でもお正月はつい食べ過ぎてしまう時期です。しかし、そんな時でも適量でストップできる人がいます。この理由の1つに脳にある満腹中枢の働きがあります。よく噛むと脳の視床下部が刺激され、大量の神経ヒスタミンが作られます。この神経ヒスタミンが満腹中枢を刺激して、満腹感を生み食べ過ぎを防ぎます。一方、よく噛むと肝臓や筋肉に貯えている糖分がグルコースとして放出されます。その結果、血糖値が上がり、この信号が脳に届くと満腹中枢を活性化し、さらに満腹感を作り出します。

また、よく噛むと酸素消費量が急上昇して体が温まります。すると、全身のエネルギー代謝が促進され、体内脂肪が燃焼し、スマートになるわけです。すなわち、噛むことは、過食を防ぎ、スロージョギングと同じ効果があるとも考えられます。

しかし、現代の一部の若者のように、左手にペットボトル飲料、右手にハンバーガーなど食べていると、よく噛まずに流し込み食事で早食いになります。本来、食事は目で見て、舌で味わい、食欲をそそる匂いで心も体も満足する大切なものなのです。

ここで、19世紀のアメリカの大富豪フレッチャー氏のダイエット法をご紹介しましょう。美食家であった彼は、体重が100㎏を超えてしまいました。いろいろなダイエット法を勧められて試しましたが全く効果がありません。半ばあきらめて、最後に試したのが「よく噛んで食べる。空腹のときだけ食事をする」という簡単な方法でした。これが見事に当たり、苦もなく、何と30㎏も減量できたのです。このことが学会で発表されると大きな反響があり、100年も語り継がれるほど「フレッチャー氏のダイエット法(フレッチャイズム)」は有名になりました。お腹周りが気になる方は、フレッチャイズムを試してみてください。

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